【技能規定】紅茶給仕における標準作業手順(SOP)

一般社団法人日本執事協会では、紅茶サービスを「執事の基礎技能」として最重要視しています。紅茶は、段取りの精度、所作の優雅さ、そして相手の状況を読み解く洞察力がすべて求められるからです。本稿では、当協会が定める紅茶サービスの基本指針と、必須知識を体系的に解説します。

1. 茶葉の選定と提案のロジック

執事に求められるのは「ティーブレンダー」としての高度な専門知識ではなく、お客様の「今の状態」に最適な一滴を導き出す「コンサルティング能力」です。主要な産地特性を、お客様の体調やシーンと紐付けて理解することが不可欠です。

ダージリン(Darjeeling)

特性: 「紅茶のシャンパン」と称される繊細で華やかな香り。
提案: 集中力を高めたい時や、午後のリフレッシュに。基本はストレートで。

アッサム(Assam)

特性: 濃厚なコクと深い麦芽のような香り。
提案: ミルクティーに最適。エネルギーを補給したい朝や、満足感を得たい時に。

ウバ(Uva)

特性: メンソールのような爽快感とキレのある渋み。
提案: 食後の口直しや、気分をリセットし目覚めを促したい時に。

キームン(Keemun)

特性: 蘭の花のような甘い香りとスモーキーな後味。
提案: 夕刻のリラックスタイムや、食後のデザートと共に。

2. 紅茶を完璧に淹れるための「黄金の4原則」

味の再現性を高めることは、サービスの安定性を生みます。当協会のマニュアルでは、以下の4点を厳守事項としています。

  1. 茶葉の計量(正確性): ティーカップ1杯(約150ml〜160ml)に対し、茶葉3gを基本とする。
  2. お湯の温度(活性化): 汲みたての水を使い、酸素を十分に含ませた沸騰直後(100度)の湯を使用する。
  3. 蒸らし時間の管理(抽出): 茶葉の大きさに合わせ、タイマーを用いて正確に3分(または指定時間)抽出する。
  4. 徹底した予熱(保温): ポット、カップ、さらにはティースプーンに至るまで、事前に熱湯で温め、温度低下を防ぐ。

3. 奉仕の作法とコミュニケーションマナー

静寂を尊ぶ所作

紅茶を注ぐ際、注ぎ口をカップから5cm程度の高さに固定します。これは、香りを広げつつも飛沫を抑え、かつ「音を立てない」ための最も理にかなった距離です。執事の動きは常に円を描くように滑らかで、カップを置く際もソーサーとの接触音を極限まで抑えます。

好みの確認とカスタマイズ

砂糖やミルク、レモンは必ず別添えで提供し、お客様の好みを伺います。その際、「本日はミルクティーに合うアッサムをご用意しましたが、いかがなさいますか?」といった、プロとしての推奨(サジェスチョン)を添えることが、信頼獲得への近道です。

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執事のコラム

監修・執筆:一般社団法人 日本執事協会

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